アイシング研究の第一人者、ケネス・ナイトの大著
クライオセラピー
スポーツ外傷の管理における冷却療法
Cryotherapy in Sport Injury Management by Kenneth L. Knight, PhD, ATC


ケネス・L・ナイト著 田渕健一監修
Sportsmedicine Quarterly訳編
B5判 352 頁 上製 本文横組13級
定価5,600円(+税)

アイシング --すでにスポーツ現場でもスポーツ医療でも盛んに用いられる方法ですが、その研究の第一人者と誰もが認めるK・ナイト氏(ATC:全米アスレティックトレーナー協会)の最新の著書(原書は1995年刊行) の日本語版が完成しました。
1985年の前著 ("Cryotherapy")を大幅に改訂、さらに章も追加 (前著15章から21章へ)、原書で110 頁以上の増頁となった"Cryotherapy in Sport Injury Management"の日本語版です。類書のない書籍です。第1部は導入、第2部は理論、第3部は実際、図・写真多数収録。ぜひお求め下さい。

クライオセラピー :冷却による治療は、急性のスポーツ外傷、およびリハビリテーションにおける理学療法として最も安価で、しかも頻繁に使用されてる。しかし、冷却は、なぜ、いつ、そしてどうやってといった数多くの技術適用に関する混乱があるため、適切に行われているとはいえない--ケネス・ナイト (序文より)

■著者紹介
ケネス・L・ナイト(Kenneth L. Knight, PhD, ATC)
ナイト氏は、自分の職務をクライオセラピーの理解に捧げてきた。インディアナ州立大学のアスレティックトレーニングの教授であり、アスレティックトレーニング学部の学部長でもある。またスポーツ外傷に対するクライオセラピー研究の世界的リーダーとして認められているインディアナ州立大学のスポーツ外傷研究所 (Sports Injury Research Laboratory)の所長でもある。アスレティックトレーニングの教育においても米国内で高く評価されており、1973年以来、高校、短期大学、大学のチームのアスレティックトレーナーとして25年以上活躍し、同時にアスレティックトレーニングの教育指導者としても教鞭をとっている。全米アスレティックトレーナー協会 (NATA) は、同氏を1995年度の“Educator of the year”に選出している。
スポーツ医学に関して2冊の書籍、および多数の文献を発表し、NATAの公式機関誌、Journal of Athletic Trainingの主任編集者も務めている。インディアナ州テレホート (Terre Houte)で妻シャーリとともに暮らしている。--1995年原著刊行時(現在はブリガムヤング大学勤務)

■監修者紹介
田渕健一 (たぶち けんいち)
1943年生まれ、東京大学医学部卒業後、同附属病院、広尾病院、虎の門病院、筑波大学、1982年関東中央病院整形外科部長。1991年横浜労災病院整形外科部長。1997年10月より東京都世田谷区豪徳寺にて田渕整形外科を開業。日本体育協会公認スポーツドクター、日本整形外科学会スポーツ委員会委員、日本体育大学非常勤講師、読売川崎ヴェルディ・チームドクター。

■目次
▼見開き頁例
第1部 クライオセラピーへの導入
第1章 クライオセラピーに関する"What " と"Why "
なぜ、混乱が生じているのか/クライオセラピーとは何か?/クライオセラピーの技術/冷却の適用で、何が起こるか?/温熱 vs.冷却:いつ、なぜ/まとめ

第2章 歴史的背景
温熱 vs.冷却/初期における冷却の医学的適用/冷却と応急処置/リハビリテーションにおける冷却の適用:クライオキネティックスの歴史/まとめ

第2部 クライオセラピーの科学的基礎
第3章 炎症と損傷の修復
炎症反応/慢性の炎症/スポーツ外傷のモデル/二次的外傷性損傷/腫脹:出血と浮腫/治癒過程/まとめ

第4章 スポーツ外傷のリハビリテーション
リハビリテーション vs.リコンデショニング/リハビリテーションには該当しないもの/リハビリテーションの原則/総合的リハビリテーションへの体系的アプローチ:10の相/いつ、どんな治療様式・用具を用いるか/リハビリテーションの心理学/まとめ

第5章 冷却適用後の温度変化
熱とその測定/熱伝導/熱容量/表面温度/深部組織温度/関節内温度/冷却適用後のリウォーミング/反対側の温度に関する論争/寒冷環境への適応/まとめ

第6章 代謝と炎症
低温での代謝の低下/心臓手術、臓器移植手術でのクライオセラピー/実験的損傷の研究/クライオセラピーと炎症/創の治癒に対する冷却の効果/まとめ

第7章 急性外傷の応急処置における安静、冷却、圧迫、挙上、固定
臨床的研究/応急処置における冷却の効果/腫脹に対する冷却の効果/腫脹に対する圧迫の効果/腫脹に対する挙上の効果/安静/固定/どんな種類の外傷がRICESで治療されるか?/冷却適用のプロトコール/まとめ

第8章 整形外科手術とクライオセラピー
術後のクライオセラピー/術前のクライオセラピー/低温化による鎮痛(Cryoanalgesia) /まとめ

第9章 治療的な冷却適用が循環系にもたらす影響
CIVDとは何か/冷却のジレンマ/なぜ、CIVDが血流増大を意味するに至ったか/CIVD- -その落とし穴/CIVDによる血流増大の理論の恩恵/交代浴/まとめ

第10章 冷却適用の神経筋への神経学的影響
冷却による知覚神経機能への影響/冷却による神経筋への影響/強縮張力/反射に対する冷却の影響/まとめ

第11章 痛みと冷却の適用
痛みとは何か?/痛みの測定/寒冷起因の痛み/寒冷起因の痛みへの対処と順応/筋骨格系の痛みを軽減するための冷却の適用/冷却によっていかにして痛みは軽減されるか/クライオセラピーでの痛みの軽減:臨床的適用/まとめ

第12章 クライオセラピーによる筋スパズムの軽減
臨床的研究/筋スパズム軽減のメカニズム/まとめ

第13章 組織と関節のスティッフネス
結合組織/筋のスティッフネス/関節のスティッフネス/手の巧緻性/手のパフォーマンス/スポーツ活動中のクライオセラピー/症候としての筋と関節のスティッフネス/まとめ

第14章 クライオセラピーの問題、注意、禁忌
凍傷および関連する症状/圧迫に関連する神経麻痺/寒冷過敏症/血管痙攣性障害/寒冷起因の痛み/禁忌/注意/まとめ

第3部 クライオセラピーに関連する臨床技術
第15章 冷却適用の方法
アイスパック/コールドゲルパック/人工的なアイスキューブパック/ケミカルコールドパック/冷水での冷水浴/冷水渦流浴/アイスマッサージ/コールドマシーン/揮発性蒸気冷却剤スプレー(Vapo-Coolant Spray) /揮発性蒸気冷却剤カフ(Vapo-Coolant Cuff)

第16章 急性外傷の応急処置--RICES の技術

第17章 関節捻挫のリハビリテーションにおけるクライオキネティックス

第18章 急性筋スパズムの軽減のためのクライオストレッチ
クライオストレッチ/クライオストレッチとクライオキネティックスの組み合わせ

第19章 術後のクライオセラピー
AirCast 社のCryo Cuff /Dura*Kold パック/冷水循環マシーン

第20章 痛みを軽減するクライオセラピー
月経時の痙攣の軽減/頭痛の処置/痛みのない注射および静脈穿刺/筋膜トリガーポイント治療

第21章 その他のクライオセラピー技術
擦過創に対する薬剤を加えた冷却/結合組織のストレッチング/暑い環境下における運動中のスポーツ選手に対する冷却/口唇ヘルペスを最小限度に抑えること/水疱の発生を最小限度に抑えること/ドキソルビシン化学療法期間での脱毛防止

*巻末に約600 の参考文献、著者名索引、サブジェクト索引など付す。


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