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Sportsmedicine No.79 April, 2006
月刊スポーツメディスン 4月号 通巻79号

A4変型判 52頁 中綴じ 定価1,100円(1,000円+税) クリアランスセール特価550円(500円+税)[品切れ]
年間購読料11,000円(10,000円+税)

■特集 和に学ぶ その1 日本人の動きの根源を探る
立つ、坐る、歩くなど、古来日本人は動き、所作を練り、合理的で美しい姿をつくってきた。しかし、住居など環境の変化、生活全般の欧米化にしたがって、その動きを見失いつつある。今月の特集では、椅子やカテラリーを自らつくり茶道も嗜む矢田部英正氏と民俗舞踊から身体をみる小林正佳氏に「日本人の動きの根源」について聞き、小笠原流宗家本部総師範の鈴木万亀子氏にからだと心が表れる所作について紹介していただいた。
矢田部英正、小林正佳、鈴木万亀子


■連載その他
Topic Scanning
新しい流れを読む
新しい教養教育としての身体運動——東京大学公開シンポジウムより

Sportsmedicine Now
取材レポート:これからのスポーツ医療
選手・愛好家に必要とされる医療機関を目指して——かみもとスポーツクリニック

Sports Science Essay
「間」の考察から運動そのものへ——ドイツの運動科学理論とともに
運動機能の“回復”とコオーディネーション能力
荒木秀夫

Therapeutic Exercise
運動療法のポイントと実際—整形外科診療所からの発信
日常動作エクササイズ(基礎編)
多久泰夫・多久範子

Exercise File
File 1 フォームローラーエクササイズのプログラム
姿勢改善のエクササイズ その2
安田栄一

File 2 膝OAのための「ヒザイタ改善エクササイズ」
膝OAと向き合ってきたクライアントたち その2
小谷さおり

File 3 介護予防に役立つ機能改善エクササイズ
転倒予防エクササイズ(前編)
石井千恵

Editorial Report
話題の最前線
ニュースポーツで個人総合型のスポーツライフを

スポーツの「芯」
大学スポーツの課題
山田ゆかり


特集 和に学ぶ
 日本人は着物を着て、畳に坐る生活が長かった。そこからさまざまな身体技法が練られ、時代を経て洗練され、伝承されてきた。だが、それも危うい状況がある。今こそ「和に学ぶ」姿勢が必要ではないか。まずは、「日本人の動きの根源」をテーマに日常生活での動作から考えてみることにした。  まず、矢田部先生(P.6)には、これまで坐る姿勢や骨の使い方などで取材させていただいたが、今回は日常動作の根源について聞いた。東京・西荻窪駅から少し歩いたところにある年代を経た民家に研究所があり、そこでお茶をいただきながらお話をうかがった。二階には和室があり、そこで坐る、立つなどの動きの撮影をさせていただいた。いつも静かに話され、言葉を噛み締めるように語る。石州流茶道も嗜まれるので、ご自宅の和室には茶道具も置いてある。日本人に生まれてよかったと思うが、その日本人の動きについて、これからは積極的に学ばないと次代に継承されない。その寂しさと危うさを感じる。  天理大学の小林先生(P.12)については、『踊りと身体の回路』という1991年に刊行された本で知っていた。いつかお会いしたいと考えていた。今回のテーマで、ぜひともとメールを送ったら快く受けていただいた。京都から天理大学に行く過程で薬師寺の横を通る。気持ちが落ち着いていく。天理大学で初めてお目にかかったが、やわらかく、そして強靱な雰囲気を感じた。民俗舞踊に接する機会は多いとは言えない。しかし、小林先生の話を聞いていると、それがいかにもったいないことかがわかる。先生がつくられた焼き物の前で撮影させていただいた。陶芸と民俗舞踊、それは同じ世界のようにも思われた。  小笠原礼法宗家本部の鈴木総師範(P.18)には、礼儀作法を身につけることでからだと心にどのような変化がみられるかを聞いた。礼儀作法は「堅苦しい」と思われがちだが、心身の健康にもつながるもので、身につけると「気持ちいい」と鈴木総師範は言う。実際に動きをみせてもらいながら解説いただいたが、日本人の心構え、生活様式、身体に合理的な動きであることを実感した。

連載その他
 これからのスポーツ医療(P.26)では、かみもとスポーツクリニックを取材した。併設するコンディショニングセンターとともに選手が求めるサービスを第一に考え、治療・運動プログラムの提供を行っている。  荒木先生の連載(P.29)は、運動機能の回復とコオーディネーション能力について。リハビリテーションにおいても、スポーツと同様にコオーディネーション能力は関連性を持っている。  多久泰夫・範子先生の連載(P. 34)は、日常動作エクササイズ基礎編。実践的な身体の使い方に通じる臥位、座位、ボールを使ったエクササイズを解説していただいた。  エクササイズファイルには、安田さんによるフォームローラーエクササイズ(P.40)、前号に続き膝OAのクライアントを紹介した小谷さんの連載(P.42)、転倒予防エクササイズを解説した石井さんの連載(P.45)を収めた。小谷さんの連載は今号で最終回となる。今後も膝OAについてお話をうかがっていく予定なのでご期待いただきたい。  不定期連載「話題の最前線」(P. 48)では、ニュースポーツについて最近の動向を日本レクリエーション協会の鈴木氏に聞いた。実に多くの種目があるので、運動習慣をつける1つのきっかけとして体験してみるのもよいだろう。  大学スポーツの課題と題したスポーツの「芯」(P.50)では、「清く、正しく、美しい」人格形成を軸とするライフスキルプログラムの導入について取り上げている。近年は大学に限らずスポーツ選手の不祥事が目立つ。スポーツの社会的意義を再考する時期にあると言える。

取材こぼればなし
■天理大学の取材を終えて、天理駅まで帰るについて、小林先生に「タクシーを呼ぶにはどうすればよいですか」と聞いたら「わたしはタクシーを使ったことがないので…。でも受付の電話から頼めるはずです」とのこと。玄関にある受付までいったが、歩いてもよいかと思い、だいたいの方向を決めて歩き始めた。
 すぐ目の前に天理教の本部がある。すごい。思わず右の写真を撮ったが、長すぎて入らない。写真の右にまだまだ同じ建物が続くと想像していただきたい。
 駅までの道すがら、方向が合っているかどうか、3回聞いた。みなさん、とても丁寧に答えていただいた。民俗舞踊、陶芸、天理の町、帰り道で再度みた薬師寺。忙しいばかりの日々は人を粗くすると思い知った。(清家)

■「人は賢くなったか?」という東大シンポジウム(Main Topic参照)での黒川氏の問いかけには、社会はNO、自分はYESとなるのが正直なところ。これはなぜか。社会に対しては知識のみ、自分に対しては行動に基づく経験から考えていることに気づく。賢くなる=からだで覚えるということか。(長谷川)

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