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Sportsmedicine No.96, 2007
月刊スポ-ツメディスン 12月号 通巻96号

A4変型判 52頁 中綴じ 定価1,000円(+税) クリアランスセール特価500円(+税)
年間購読料10,000円(税込)

■特集 反復性肩関節脱臼--その病態・病因と手術療法
外傷性の脱臼のあと、繰り返し起こる反復性肩関節脱臼。スポ-ツでも一般でも比較的知られた状態である。それに対する手術療法をどうするかについて、オ-プンで行う方法と関節鏡で行う方法とがあり、近年は関節鏡での手術が増えている。では、いったい何がどう違うのか。関節鏡のほうが優れた方法なのか。根本的なことから整理してみた。なお、この取材は、信原先生のご好意で、三笠先生も含め、信原病院で行った。

1 反復性肩関節脱臼--NH法による手術とその意味
信原克哉・信原病院・バイオメカニクス研究所

2 反復性肩関節脱臼に対するオ-プン法(NH法)の実際について
乾 浩明・信原病院・バイオメカニクス研究所 整形外科医長
反復性肩関節前方脱臼(NH法)のリハビリテ-ションプログラム
立花 孝・信原病院・理学療法士

3 反復性肩関節脱臼に対する鏡視下手術
三笠元彦・松戸整形外科病院名誉院長


The Athlete’s Voice
ショックだったけれど、手術してよかった--術後に再び世界チャンピオンへ
正田絢子・(株)ジャパンビバレッジ 1999年女子レスリング62kg級、2005・06年59kg級世界選手権優勝

Topic Scanning
新しい流れを読む
「運動器不安定症」--その新しい疾患概念とは

Prevention of Baseball Injuries
投球障害への対応と予防のために
野球肩のみかたと対応
能勢康史・コンディショニングコ-チ

Editorial Report
話題の最前線
日本初の50歳以上限定フィットネスクラブ--機能訓練の運動プログラムに特化した新業態

My Fishing Days
70歳からのフィッシング
美幌町“しゃきっとプラザ”と津別川の釣り
宮下充正・東京大学名誉教授

Neo Coordination
独自のコオ-ディネ-ション論にいたる道 最終回
荒木秀夫・徳島大学総合科学部教授

Meridian Stretch
「経絡ストレッチ」--身体の異常診断と修正が容易にできる
経絡ストレッチで症状が改善した例2
「手首の痛みで悩む主婦と槍投げで肘の内側が痛む例」
朝日山一男・神奈川衛生学園専門学校専任教員

Sports Science Essay
「間」の考察から運動そのものへ--ドイツの運動科学理論とともに
ちいさな国のおおきな闘い! その21
高橋日出二・コレスポ、綿引勝美・鳴門教育大学

Trainers Activity
JATACのトレ-ナ-実践活動
種目別Ⅲ 野球
高橋仙二・JATAC岐阜

Body Potential
動きへのはたらきかけ
柔軟性の向上 Ⅱ
橋本維知子・日本ボディポテンシャル協会主宰

Exercise File
File 1 機能改善体操
機能改善体操 〜水中ウォ-キングを考える〜
尾陰由美子・アクトスペ-ス企画

File 2 介護予防に役立つ機能改善エクササイズ
メタボリックシンドロ-ムと介護予防に同時にアプロ-チする
石井千恵・医療法人清心会藤沢病院

File 3 忙しい人のためのフェルデンクライスメソッド
脳を鍛えるからだのレッスン--焦点を合わせる術を磨く
フランク・ワイルドマン博士、訳:藤井里佳

Hida Report
連載「飛騨通信」
健康問題に取り組む--飛騨市長の話
山田ゆかり・スポ-ツライタ-、早稲田大学非常勤講師


 肩の脱臼を目の当たりにしたことのある人はそう多くはないかもしれない。競技や環境によっては一度も見たことがないという人も多いだろう。しかし、「肩がはずれやすい」という人を見聞きしたことがある人は多いのではないだろうか。
 習慣性肩関節脱臼という言葉があり、反復性肩関節脱臼という言葉もある。何が違う? そういう疑問もあった。そこで、54号の特集で取材させていただき、その後何度もお会いしている肩の権威、信原先生にメールで問い合わせてみたところ、実に明解な回答をいただいた。
 そこで、そのお話を特集の最初にとお願いし、三笠先生も紹介していただき、信原病院で、特集の4人の先生に取材させていただいた。
 信原先生(P.6)は今さら紹介するまでもない。今回のテーマ、反復性肩関節脱臼について、歴史的名称の変遷から始まり、反復性肩関節脱臼の要素6点をすべて診ないといけないという徹底した考えにまた圧倒される。NH法という侵襲も小さく、40分という手術時間で、輸血も不要という術式のすごさを知った。
 そのNH法について、信原病院の乾先生(P.10)に詳しく解説していただいた。鏡視下手術が盛んだが、なぜ鏡視下手術がかくも隆盛なのかわからなくなる。先端を行っているという感じ。意外にそういうことがあるかもしれない。
 だが、信原先生も鏡視下手術が優れた技術であることを認め、しかし、まず肩の構造をくまなく知りつくし、オープンで技術を磨き、そのあとこれについては鏡視下でできるとなれば鏡視下で行うのがよいとされている。いきなり鏡視下から入ると、自分の目で実際に見たことのない肩を手術することになる。
 そこで三笠先生(P.15)に鏡視下手術について説明していただき、またその実際についてビデオも見せていただいた。さすがに道具を駆使し、技術を高め、糸を送ったり、結んだり、結び目を移動させたり、驚くような世界である。反復性肩関節脱臼の治療について、考え方の違いはある。しかし、いずれの方法であっても再脱臼せず、その後の活動にも支障がなければ、患者にとっては「治してもらった」ということになる。
 今後、この手術はどうなっていくのか。さらに科学的、医学的解明も必要だろうと思う。脱臼はそう簡単な問題ではないようだ。
 術後のリハビリテーションについては信原病院の立花先生(P.15)に、またレスリング選手で術後に再び世界チャンピオンになった正田選手(p.19)にはその体験談を聞いた。あわせてぜひ読んでいただきたい。
 医学、科学の進歩は非常に早い。コンピュータをはじめ、テクノロジーの進歩とともに手法、技法もどんどん進化していく。関節鏡という技術はその典型かもしれない。さまざまな道具が工夫され、そこから技法も新たに生み出され、切開することなく生体内に入り、可能な病変の手術範囲がどんどん広がっていく。かつては膝前十字靱帯損傷をはじめ、半月板など膝関節の手術において関節鏡は大いに脚光を浴びた。それが肩関節にも適用されはじめ、進歩しつつある。それ自体喜ばしいことであるが、信原先生が鳴らす警鐘に耳を傾ける必要もあるだろう。医学の進歩と技術の進歩。両者のハーモニーがもっとも望ましい。
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