Sportsmedicine No.145, 2012
月刊スポ-ツメディスン 2012年11月号 通巻145号
A4変型判 52頁 中綴じ 定価1,100円(1,000円+税) クリアランスセール特価550円(500円+税)[品切れ]
年間購読料11,000円(10,000円+税)
■特集 肘の問題
──難治性テニス肘と少年の野球肘
ロンドンパラリンピックでは車椅子テニスの国枝慎吾選手が肘の手術を受けて見事金メダル獲得、卓球の福原愛選手はロンドンオリンピックで銀メダルを獲得後、やはり肘を手術。肘については、本誌では119号特集「子どもの野球肘」で少年野球で生じている肘の障害について詳しく紹介したが、近年、いっこうに減少しないどころが逆に増加する少年の野球肘に対する関心が急速に高まりつつある。この号では、その国枝選手の手術を担当された別府諸兄先生、少年の野球肘に取り組む、古島弘三先生、馬見塚尚孝先生、吉田干城先生、指導に当たる川村卓先生はじめ、OTの大森みかよ先生、PTの宇良田大悟、福田潤先生にも取材、執筆していただいた。
1 難治性上腕骨外側上顆炎(テニス肘)の鏡視下手術
別府諸兄・聖マリアンナ医科大学整形外科学講座代表教授、公益財団法人 日本テニス協会ドクター・トレーナー部会長
2 少年の野球肘――離断性骨軟骨炎と内側上顆裂離骨折、その手術療法と早期発見の重要性について
古島弘三・慶友整形外科病院 スポーツ医学センター長
3 少年の野球肘予防への提言──全力投球禁止、投球強度制限、盗塁禁止、指導者ライセンスなど
馬見塚尚孝・筑波大学附属病院水戸地域医療教育センター/水戸協同病院整形外科、筑波大学硬式野球部部長兼チームドクター、つくば野球研究会幹事
4 野球肘を経験して──自らの野球肘の経験をもとに、野球肘撲滅運動を推進
吉田干城・横浜ベースボール整骨院 院長
5 少年の野球肘を減らすための指導のポイント
川村 卓・筑波大学体育系准教授、筑波大学硬式野球部監督
特集頁例 msm145.pdf *注1
Seminar Report
セミナーレポート
現場でよく起こる手の外傷と障害──第12回バスケットボールトレーナー勉強会
吉田真由美・玉川大学女子バスケットボール部トレーナー
Contribution
寄稿 手を使わなくても逆上がりはできるか
逆上がりにもタイプがある
中村 賢・社団法人TAISO LAND店長
Contribution
オーストラリアでPhysiotherapistを目指して
オーストラリアの理学療法教育について
三木貴弘・理学療法士
Sports and Medicine
スポーツと医療の現場から考える
少年野球指導者論Ⅰ──現在の少年野球チームおよび指導者の現状と問題点、課題
河崎賢三・スポーツ整形外科医、桐蔭横浜大学 スポーツ健康政策学部 教授
Sports & Law
基礎から学ぶ「スポーツと法」
スポーツと保険
髙木宏行・スポーツと法政策研究会、高木総合法律事務所
Topics on Children
子どものからだと心
子どものからだと心は「保護」されているか?──『子どものからだと心白書2011』より
長峰孝子・子どものからだと心・連絡会議、調布市立染地小学校
Meridian Stretch
「経絡ストレッチ」──身体の異常判断と修正が容易にできる
経絡ストレッチで症状を改善しよう 26
ランナーに起こりやすい傷害への対応(8)──アキレス腱周囲炎
朝日山一男・神奈川衛生学園専門学校
Synapsology
シナプソロジー
脳の潜在認知力を引き出す「シナプソロジー」──スポーツクラブにおける展開事例
沖本 大・シナプソロジー普及会ディレクター、株式会社 ルネサンス商品開発部 課長代理、社団法人 日本フィットネス協会/ADD・ADE・AQS
ロンドンパラリンピックで北京に続き車椅子テニスで2連覇を果たした国枝慎吾選手は、その半年前に肘の手術を受けた。卓球の福原愛選手はロンドンオリンピックで銀メダルを獲得後、やはり肘の手術を受けた。また、少年野球で30年以上前から問題になっている「野球肘」だが、さらにその状況が悪化していると聞いた。肘の特集を組もうと決めた。
まず、国枝選手が手術を受けた聖マリアンナ医科大学の別府諸兄先生(P.2)に連絡したところ、同選手が病院を訪れると聞き、10月1日その場を訪れ、別府先生にもお話をうかがった。難治性のテニス肘、関節外のみならず関節内に病巣が移行、それを関節鏡で手術する。すでにこの病院では38肘を経験している。「奇跡に近い」と別府先生も語られたその手術からの金メダル獲得。まさにチーム医療、スタッフ一丸のサポートの賜物だった。そのリハビリテーションについては大森みかよ先生にも取材させていただいた。
少年の野球肘については、本誌119号で「子どもの野球肘」という特集を組んで、改めてこの「おとながつくっている障害」にスポットを当てた。しかし、その後も少年の野球肘は状況が変わらないどころかさらに悪くなっているという。肘の手術療法で知られた慶友整形外科病院の古島弘三先生(P.7)、同病院のPT、宇良田大悟先生、福田潤先生、水戸協同病院の馬見塚尚孝先生(P.14)に集まっていただき、2日にわたって取材となった。手術、予防、リハビリテーションについて、しかし何より、予防が第一である。吉田干城先生(P.22)には自らの野球肘人生から、川村卓先生(P.27)には指導者の立場から、この問題について述べていただいた。少年の野球肘、1日も早く予防体制が整うよう今後もこの問題を扱っていくことにしよう。
なお、下の写真は、別府先生に紹介していただいた『肘が痛い方のために―診療ガイドラインに基づいた上腕骨外側上顆炎(テニス肘)ガイドブック』。ぜひご一読を。(清家)
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