この「特集パック」は、月刊スポーツメディスンと月刊誌になった第28号(2001年2月号)からちょうど100号を迎えた第127号(2011年1月号)の発行後、「月刊化100号記念」として、その100号の特集をすべてPDF化し、1枚のCDに収めた「10年パック」にその後の1年分(128〜137号)を加えDVDにまとめたものです。以下は「10年パック」の冒頭に掲げた文です。経緯を示すため再度掲載します。
月刊スポーツメディスンは1989年10月季刊誌『Sportsmedicine Quarterly(SQ)』として創刊されました(B5判126ページ)。その10年前、月刊トレーニング・ジャーナルが創刊、トレーニングの専門誌として日本初でしたが、トレーニングやコンディショニングに関連して、スポーツ医学の重要性への認識が高まり、スポーツ医学関連記事が増加、そのスポーツ医学だけで専門誌ができないかと考え、創刊に至ったのがSQでした。当初は、執筆していただいた原稿が中心でしたが、第14号(2004年)から70〜100ページ程度を特集に割くという「大特集主義」をとりました(第27号まで)。しかし、特集のボリュームが大きいとそれだけ時間もかかり、季刊誌とはいえ年4回発行することが困難になりました。取材スタッフは基本的に1人で、アシスタント的に1人つくことはありましたが、場合によっては30人くらいの人に会って原稿をまとめるのには相当の時間を要しました。
そこで1冊のボリュームは少なくし、月刊誌として再スタートしたのが2001年の2月号、第28号でした。最初の特集は「足関節のテーピング」で、テーピングを実践されている先生方にその考えと実際の方法について紹介していただくというものでした。
このように、本誌は、スポーツ現場を重視し、そこで行われていること、技法、その医科学的理論・根拠などを中心に取材あるいは原稿の執筆を依頼してきました。当然のことですが、スポーツ医学をそのように、あくまで「現場あってこそのもの」と理解しての編集方針です。しかし、スポーツ医学は、当初は競技スポーツ選手を対象としていたものの、その成果は広く一般にも応用できるとされ、高齢者、子ども、障がい者など、すべての人を対象とするようになっています。そうした時代の要請にしたがい、本誌も高齢者や一般人のフィットネスをテーマにした特集を多数組んできました。
それだけでなく、スポーツ医学をSportsmedicineと1語で示してスタートしたのも、スポーツ医学を医学の一分野としてのみ捉えるのではなく、スポーツと医学を融合させることで生まれる新しい分野という認識で、そこには科学全般もあるいは芸術や芸能も含まれてくると考えています。しかし、基本は「スポーツ」にあります。スポーツの厳しく、常に上を目指し、勝利を求める姿勢から生まれるものを大事にし、そこから出てきた優れたものを広く活用していただけるように誌面で提供する、そういう雑誌でありたいと考えてきました。
スポーツ医学、あるいはスポーツメディスンという言葉は一般的になり、スポーツドクターやアスレティックトレーナーという存在も広く知られるようになりました。21世紀のスポーツはどのようになっていくのでしょうか。とりわけ、この国日本ではスポーツに対する認識や概念はどのように変化していくのでしょうか。可能な限り広い視点をもってみていき、読者の方々に少しでもお役に立てる雑誌でありたいと思います。今後ともよろしくご支援のほどお願い申し上げます。
なお、この「10年パック」を作成するにあたり、以下のような作業を行いました(注/特集パックも同様)。
- 誤記が判明しているものを修正、新たに見つかったものも修正した。
- 発行時はカラーページに掲載した写真は、レイアウト的に可能なものについてはモノクロページにカラーで掲載した。それ以外は発行時のままカラーページとして掲載した。
- 人名および所属、施設等の住所・電話/ファックス番号、ホームページURLなどは、発行時のものである。
- 特集ページ内の他社広告については削除したが、ページ番号の移動がないよう、空きページには本誌のロゴを挿入した。
- 各号の特集トビラには、左上のスペースに新たにその号の表紙をカラーで付した。
- この「10年パック」の構造については、「使い方」を参照していただきたい。
何よりもこの「10年パック」としてまとめることができたのは、これまでご愛読いただいている読者のみなさま、そして快く取材に協力していただいた各号の先生方、また情報提供をはじめ多くのサポートをいただいている企業や団体、個人の方のおかげです。改めて御礼申し上げ、今後ともご支援のほどお願い申し上げる次第です。
なお、この100号分の特集編集に携わったのは、過去においては長谷川憲智、三橋智広、現在は田口久美子の計3名です。編集作業ではそのほかにも多くの人に助けていただき、また企画、交渉等でたくさんの方のお世話になりました。また、この「10年パック」のデジタルワークは本誌のデザイン・レイアウトを担当している馬上貴広氏(ハンプティー・ダンプティー)によるものです。
月刊スポーツメディスン
編集人 清家輝文