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Sportsmedicine No.58 Feb-Mar, 2004
月刊スポーツメディスン 2-3合併月号 通巻58号
A4変型判 52頁 中綴じ 定価1,100円(1,000円+税) クリアランスセール特価550円(500円+税)[品切れ]
年間購読料11,000円(10,000円+税)
■特集 「42条施設」の動向をさぐる期待が高まるスポーツ医療施設の今後
1.はじめに 日本運動療法推進機構・斎藤博之事務局長にきく
2.医学的管理を徹底した運動実践の場の提供
パシフィックホスピタル「パシフィック メディカル フィットネス クラブ」
3.運動継続促進、長寿県の危うさ、子どもの問題を考えたメディカルフィットネス施設
沖縄セントラル病院「FROGEN(不老源)」
4.20年前からの取り組みが「42条施設」開設に
島田病院「はびきのヴィゴラス」
5.東京のビル診で「42条施設」に取り組む
医療法人社団 順公会「ウェルネス葛西」
■大きく変わる病院経営とメディカルトフィットネス施設
社団法人メディカルフィットネス協会理事・長屋和明
■連載その他
Topic Scanning
新しい流れを読む
20年周年を迎えたマスターズ水泳−−広がる年齢層、世代を超えた交流
Sports Science Essay
「間」の考察から運動そのものへ−−ドイツの運動科学理論とともに
ベルンシュタインの問い! その12
綿引勝美・鳴門教育大学
Body Work for Relaxation
気づきを通じたリラクセーション−−フェルデンクライスメソッドからのアプローチ
短時間に体の動きをよくする/胸郭を柔軟にする/体の奥深くに広がりを感じる
深沢悠二・IFF 公認インストラクター
Stretching and Training for Injury Prevention
障害を予防するストレッチングとトレーニング
鵞足炎のメカニズムと予防法
堀居 昭・日本体育大学
Exercise for the Knee
膝OAのための「ヒザイタ改善エクササイズ」
種目別概要1
小谷さおり・つえつえクラブ/ヒザイタ改善運動普及会
Sports Medicine People Interview
スポーツ歯科学
安井利一・明海大学歯学部
Contribution
フォームローラーエクササイズの身体への影響
白石浩一・日本メディカル専門学校
Watch and Write!
スポーツの「芯」
プロ野球のキャンプ・リポート
山田ゆかり・スポーツライター
特集 「42条施設」の動向をさぐる
院も珍しくない。ある雑誌が「病院革命」という言葉を使い報道していたが、「革命」という大仰な表現をしたくなるほど、大きな変化が起きている、起こるという意味であろう。
医療を巡る問題は、個人の生命や身体、生活に関わることであり、また国家的にも国民の安全と幸福を確保するうえで不可欠であり、また医療費という経済的な問題も含んでいる。「生命を操作する」という意味では、倫理の問題、「人類」そのものの問題など、考えれば考えるほど医療問題は裾野も頂上も広く高い。
少し前なら、病院や診療所で「運動」という言葉を聞くのは「少しは運動しなさい」とか「運動はだめですよ」という表現が多く、それ以上踏み込んでの話はアスリートを除く一般ではさほどなかったであろう。
しかし、ここにきて、疾病予防施設としての展開が目立ってきた。今回紹介したようにアスリートへの対応を図っておられる施設もある。アスリートへの対応を重視した医療施設もあるが、今回は、「42条施設」に的を絞ったため、疾病予防、健康増進、リハビリテーション後のトレーニングなどのための施設という色が濃いところが多い。
共通して言えるのは、従来の医療の枠だけでは、医療に携わる者として十分ではないのではないかと考える人が多いということである。もっと運動によって元気に、あるいはさらに運動によって改善を図ることができるだろうと考え、「42条施設」を展開されている。その思いが先にあり、「経済」は次。だが、もちろん経済基盤があってこその理念である。まだ開設間もないところもあり、これからの問題だろうが、実際には「42条施設」を1つつくり、やがて複数を展開されているところもある。今回はそういうところは紹介しなかったが、決して「持ち出しばかりの事業」というわけではないのである。
確かに、まだお金を払って運動したいという人は少ないほうかもしれない。しかし、医療機関が持つプロフェッショナルの部分に温かいサービス精神が加わり、快適な環境で安心して運動できるのであれば、ぜひやりたいという人は潜在的には多いはずである。
スポーツ医学はアスリートを対象に始まったが、そのノウハウは一般人にも活かせる。「スポーツ医学は人をハッピーにするもの」とあるドクターが言っていたが、まさにその通りだと思う。
今回の特集を取材する過程でいろいろな施設の話を聞き、そこにも行きたいと思ったが、時間の制約で行けなかった。また別の切り口で「スポーツ医療施設」を捉えてみたい。取材で伺う際にはよろしくお願いします。
連載その他
綿引先生(P.29)のシシ狩りの話はやけに臨場感がある。シシの肉塊がぶら下がっている納屋があるというのは、都会ではまずないだろう。生命、自然を肌で感じる生活は、身体や運動に大きな影響を与えるはずだ。ふと、ベルンシュタインの時代の「運動」と現在の「運動」と何か感覚的な違いがあるのかもしれないと思った。
深沢先生(P.32)の誌上レッスンを毎月楽しく実践していますということをよく聞く。フェルデンクライスメソッドを経験した人は、自分の身体のちょっとしたこと、例えば、重心の位置、力の入り具合などに敏感になっていることに気がつくのではないか。この身体感覚の向上はアスリートにも一般人もよい影響を与える。「ゆっくり」やってみて下さい。
堀居先生(P.36)の障害予防のストレッチングとトレーニングは、体育大学での指導がベースになっていると思われる。アスリート揃いの環境で、ケガをたくさんみてきた経験は、「障害予防」に眼を向け、そのなかから有効なストレッチングやトレーニングが考案されてきたのだろう。それにしても、スポーツによる障害の種類は多いとつくづく思う。
小谷先生(P.42)の「ヒザイタ改善」の教室は全国で展開されているが、どこでも大人気だそうだ。エクササイズ自体は見た目はそうハードではないが、ちょっとした動作でもきちんと行おうとすると案外大変なもの。逆に言うと、日常生活でいかに身体をさぼらせているかがわかる。そういう日の積み重ねがやがて痛みとなって現れる。ちょっとした違いが大きな違いになるわけである。
安井先生(P.44)は、スポーツ歯科学の先駆者として知られている。歯と運動の関係は案外見落とされがちなのだが、その大切さは徐々に知られてきた。テレビに登場するアスリートの歯は以前に比べると俄然よくなっていると思う。これを契機に「歯」をテーマにした特集も考えてみたい。
白石先生(P.46)からフォームローラーエクササイズに関する投稿が届いた。本誌でも連載しているが、今月は休載にし、この投稿のほうを掲載させていただいた。医療機関におけるフォームローラーの使用も増えてきている。本誌ではその部分をもっと紹介していきたい。投稿を希望される方は編集部まで。
山田さん(P.51)はプロ野球の春のキャンプだよりとして、話題の中日と日本ハムの模様をリポート。春とは言え寒い沖縄であったが、新監督・落合氏、メジャー帰りの人気者・新庄選手の姿が目に浮かぶようである。
なお、次号では「姿勢」をテーマにする予定。(清家)
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