Sportsmedicine No.62 July, 2004
月刊スポーツメディスン 7月号 通巻62号

A4変型判 52頁 中綴じ 定価1,100円(1,000円+税) クリアランスセール特価550円(500円+税)[品切れ]
年間購読料11,000円(10,000円+税)

■特集 中高齢者対象プログラムフィットネスクラブ編
1生活習慣改善のきっかけとなるプログラムづくり
 コナミスポーツ

2誰でも気軽に参加できる豊富なプログラムの提供
 セントラルスポーツ

3医療との連携で安全と安心の確保  スポーツプレックスジャパン

4低体力、運動経験がなくても参加できるプログラム充実
 ラスパOSAKA 、フィットネスクラブ・ラスパ

5個別対応できるプログラムの提供を  ジェクサーフィットネスクラブ

6フィットネスと鍼灸・整骨院とのコラボレーション
 グンゼスポーツクラブ


■連載その他
Topic Scanning
高まる東洋医学への関心−−漢方フォーラム2004

Body Work for Relaxation
気づきを通じたリラクセーション−−フェルデンクライスメソッドからのアプローチ
胸と呼吸/椅子での呼吸法/胸骨を鎖骨に突き刺す
深沢悠二・IFF 公認インストラクター

Sports Science Essay
「間」の考察から運動そのものへ−−ドイツの運動科学理論とともに
ちいさな国の大きな闘い! その2
綿引勝美・鳴門教育大学、高橋日出二・コレスポ

Stretching and Training for Injury Prevention
障害を予防するストレッチングとトレーニング
ハムストリングスにおける肉ばなれのメカニズムと予防法について
堀居 昭・日本体育大学

Exercises for the Knee
膝OAのための「ヒザイタ改善エクササイズ」
種目別概要4
小谷さおり・ヒザイタ改善運動普及会

Sportsmedicine People Interview
ジェネラルフィジシャンから脊椎専門医に
松田繁三・松田整形外科

Foam Roller Exercise Program
病院で用いられるフォームローラーエクササイズ
鈴木俊一・川口工業病院

Watch and Write!
スポーツの「芯」
相撲について
山田ゆかり・スポーツライター

特集 中高齢者対象プログラム
 フィットネスクラブと言えば、若い人、特に女性がエクササイズし、「シェイプアップ」するところというイメージだった。しかし、徐々に中高齢者の利用が増え、今回取材したところでは半数以上が中高齢者という施設も珍しくなかった。当然、中高齢者の場合、膝が痛い、腰が痛いなど整形外科的疾患を抱えていたり、高血圧など内科的疾患も複数持っている可能性が高い。また、若いときにスポーツに興じたという人もそう多いわけではない。
 体力がない、運動経験が乏しい、それでいてからだのあちこちが痛い。そういう人がフィットネスクラブに増えたらどうなるか。
 もともとフィットネスクラブは「健常な人」を対象にしてきた。しかし、少子高齢化が進むと、いつまでも自立して元気でいたいと願う中高齢者が増加、医療機関でのリハビリテーション後、さらに運動を続けたいという人から、内科的疾患の運動療法として、また山登りやテニス、ゴルフをしたいという人まで、フィットネスクラブでの運動に参加する人が増えてきた。実際に、フィットネスクラブの会員の平均年齢は上がってきたところが多い。
 それはフィットネスクラブで提供されるプログラムにも現れている。「中高齢者向けプログラム」というような表現はなされていないが、「これならできそう」あるいは「これならやりたい」と思わせるプログラムが増えている。
 今月の特集では6つのフィットネスクラブを取材、どのようなプログラムがどのような考えで展開されているかを紹介してみた。
 コナミスポーツの生活習慣病予防プログラム「6weeks 」はポイント制をうまく活用し、日常生活での運動も加算されるという優れたアイデア。楽しみつつ、励みにもなり、モチベーションの維持、向上にもよさそうだ。
 セントラルスポーツは、「フィットネスクラブは運動をするだけの場所ではなく、お弁当を持って、仲良しのお友だちに会いに行く場所」という考え方が面白い。98年には6%だった60代が現在17.6%。プログラムのネーミングもわかりやすいものを採用している。中高齢者は人生経験が豊富なだけに、コミュニケーションを楽しむ余裕もあるということだろう。
 スポーツプレックスジャパンは、フィットネスクラブに医師が常駐するクリニックなどを併設した特徴ある店舗を展開している。医師がそばにいるという安心感、医科学検査に基づいたオリジナルプログラムの作成と、中高齢者を意識した内容である。時代の変化を見取った方針で、今後一層充実していくことが期待される。
 ラスパOSAKA 内のフィットネスクラブ・ラスパは、1階のバーデゾーンに驚かされる。フィットネスクラブは上のフロアにあるが、お風呂やマッサージルームなどもあり、1日いても飽きない。平均年齢が54.6歳。運動も食事もお風呂も楽しめる施設。フィットネスクラブの概念は今後もっと変容していくかもしれない。  ジェクサーフィットネスクラブは、施設ごとに利用者に合ったプログラムを作成している。利用者との交流の結果出てきたプログラム。そういういわばテーラーメイド化されたプログラムも中高齢者を対象としたときには必要性が高くなるだろう。
 グンゼスポーツクラブつかしんでは、鍼灸・整骨院を併設して可能性が広がった。メディカルチェックを通じた運動へのアドバイス、また治療面からのサポートは中高齢者にはありがたい。
 総じて言えば、フィットネスクラブに中高齢者が増えることで、自ずとサービス内容も変化していった。運動が生活に欠かせないと理解され、その場をフィットネスクラブが提供するとき、単に運動の場ではなく、それ以上の価値、存在でないと人は集まらない。人生を楽しむ。その中に運動がある。

連載その他
 Topic Scanning(P.1)では、漢方フォーラム2004の模様をお伝えした。漢方は日本人が親しんできたものだが、明治以降どこか不確かなものとされてきた。しかし、近年欧米での関心の高まりもあって、日本でも話題になることが多くなってきた。正しい知識と正しい使い方が大事になるが、フォーラムを訪れた多くの人の熱心でまたユーモアを理解する姿勢が印象的だった。漢方や東洋医学については本誌でもこれから関心を払っていきたい。
 深沢先生(P.29)には前号の特集「呼吸」を引き継ぎ、3つの呼吸に関するレッスンを紹介していただいた。
 綿引先生(P.34)には、高橋さんとともにインタビュー記事としてまとめていただいた。「超回復理論はごみ箱いき」という発言には驚かされる。あくまで概念的なもので、実際そうなのかどうか疑わしいとは思っていたが、ずばり言われるとグサッとくる。このインタビュー、すごい内容である。
 堀居先生(P.37)はハムストリングスの肉ばなれがテーマ。肉ばなれが起きやすい部位だけに日々のトレーニングやストレッチングは欠かせない。
 小谷先生(P.41)のヒザイタ改善エクササイズもフィットネスクラブで人気のプログラムとなっている。まさに中高齢者を対象にしたエクササイズである。
 松田先生(P.44)は、脊椎専門医としての興味深い話。
 鈴木先生(P.48)は理学療法士として病院内で活用するフォームローラーの上肢編の1回目を紹介していただいた。もちろん病院でなくとも実施できる。試していただきたい。
 山田さん(P.50)は相撲の話。相撲の人気は一時ほどではないが、やはり日本人にとっては愛すべきものである。(清家)

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