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Sportsmedicine No.76 December, 2005
月刊スポーツメディスン 12月号 通巻76号

A4変型判 52頁 中綴じ 定価1,100円(1,000円+税) クリアランスセール特価550円(500円+税)[品切れ]
年間購読料11,000円(10,000円+税)

■特集 機能向上エクササイズとくに高齢者の運動器について
運動の必要性は、生活習慣病予防や介護予防、転倒予防などさまざまな局面で叫ばれているが、今月はとくに高齢者の運動器の機能向上について取材した。ちょっとしたエクササイズが機能を向上させる。各施設での指導に、あるいは自らの実践に役立てていただける内容である。
丹羽滋郎、田口順子、尾陰由美子、宮田昌司


■連載その他
Topic Scanning
新しい流れを読む
補完代替医療、統合医療の今後——第8回日本補完代替医療学会などより

Sports Science Essay
「間」の考察から運動そのものへ——ドイツの運動科学理論とともに
コミュニケーションと“運動学”
荒木秀夫

Therapeutic Exercise
運動療法のポイントと実際—整形外科診療所からの発信
呼吸と身体
多久泰夫・多久範子

Exercise for Good Movement
新連載 介護予防に役立つ機能改善エクササイズ
ふわふわ体操で介護予防——把持動作から始めよう
石井千恵

Wonderful Aging
すばらしき高齢スポーツ愛好者に学ぶ
運動はやらないよりやったほうがよい
北川 薫

Active Children
新連載 こどもの身体活動を考える——いかに人を動かすか
飛騨市健康増進・体力向上モデル事業「山っこ倶楽部」のこころみ

スポーツの「芯」
「エンジョイ・スポーツ・セミナー」に参加して
山田ゆかり


特集 機能向上エクササイズ
 身体機能、運動器の機能、ファンクションという言い方が頻繁になされるようになった。体力を筋力、有酸素能力、柔軟性などに要素分解する考え方もあるが、むしろ統合、総合的に考える方向が「機能」という言葉に表れていると言ってよいだろう。
 今回の特集は、その機能、とくに運動器の機能向上(改善)に焦点を絞って取材した。
 丹羽先生(P.6)には、74号で「筋の再教育—中高齢者の健康づくりの鍵」という論文を寄稿していただいたが、さらに具体的なことを知りたくなって、愛知医科大学運動療育センターを訪れた。丹羽先生は、自らのからだを使い、発見の数々を披露していただいた。なるほどと思うことばかりで、ちょっとしたことでこんなに変わる身体の不思議さを改めて思った。さらに詳しい内容をまとめ書籍になるそうで、楽しみである。
 田口先生(P.11)の教室は江ノ島の鵠生園で行われた。理学療法士として長いキャリアをお持ちの田口先生の話は説得力があり、1本芯の通った内容で、かつとても実践的だった。誰でもすぐに実施できるものばかり。受講者からの質問にも丁寧に、また明確に答えられていたが、それは自らが多くの現場経験を有するからであり、実践量のすごさが感じられた。
 尾陰さん(P.16)にはこれまで主に水中運動で登場していただいたが、尾陰さんは、「機能改善エクササイズ」を提唱・指導してきた先生としてもよく知られている。今回は大阪で、そのエクササイズを考案するまで、また指導の実際について聞いた。自分の膝の不調から自分で考え、さらにドイツに研修に行き、積み上げられたプログラムである。エクササイズの内容をCDにして大量にいただいたが、今回はスペースがなくなってしまった。機会を改めて紹介していただくことにしよう。
 宮田さん(P.21)には、訪問リハビリテーションの現場の視点から運動器の機能向上について語っていただいた。隣の居間まで歩く、一人でトイレに行く、近所のスーパーに買い物に行くなど、日常で必要となる機能を生活空間の中で向上させることができる点は訪問リハビリテーションの利点である。しかし、寝たきりの高齢者の中には、本人のみならず、家族も含めて「もう歩けない」と思っている場合もあり、いかに機能向上に意欲を持ってもらうかがカギとなる。なぜ機能向上が必要なのか。住環境を含めてみると、より鮮明になる。(清家)

連載その他
 荒木先生の連載(P.29)は、コミュニケーション理論としての表現系の問題を接点としたコミュニケーションにおける運動学的視点と運動学習との関係などについて触れていただいた。コミュニケーションと聞くと会話を思い浮かべるが、言語と身体においても成立している。言語を通じて身体(運動)のスキルを習得、向上させることはスポーツの指導現場では誰もが行っていることだろう。その重要性を再認識させられる内容である。
 多久泰夫・範子先生の連載(P.33)のテーマは呼吸と身体。泰夫先生はベルンシュタインが「レベルA」と名づけた最も原始的な第1段階、「体幹—首系」が受け持つ動作と呼吸の関係を、範子先生は呼吸の動きを身体に埋め込むたものエクササイズをそれぞれ解説している。泰夫先生は「多くのクライアントにおいて観察されたのは、レベルAの動作不良でした」と記し、「体幹—首系」の機能改善のために重要視されてきたのが呼吸法ではないかと推察している。
 今号よりスタートした、石井千恵さんの新連載(P.36)では、どこにでもあるものや手軽に購入できる安価な道具を用いた、介護予防に役立つ機能改善エクササイズを紹介していく。第1回はジャグリングなどで活用されてきたムーブメントスカーフを使ったエクササイズ。食事や整容など身近な動作に欠かせない把持動作を中心に取り上げていただいた。介護・福祉の現場で石井さんが実際に指導している実践的内容なので、次回以降もご期待いただきたい。
 高齢スポーツ愛好者に学ぶ(P.40)には、中京大学体育学部運動生理学研究室教授の北川薫先生にご登場いただいた。スキー50年、サッカー45年、ゴルフ20年のキャリアを持つ同氏の方針は「運動はやらないよりやったほうがいい」「早寝早起き三食摂ること」。自宅で行っている筋力トレーニングとともに、健康・運動への考え方を語っていただいた。
 新連載、子どもの身体活動を考える(P.46)では、飛騨市の健康増進・体育向上モデル事業「山っこ倶楽部」について、総合世話人を務める山田ゆかりさんに報告していただく。同事業は医療費削減を目的としているが、子どもの身体とこころの発育発達を進めていく事例として参考にしてほしい。
 スポーツの「芯」(P.50)は、山田さんが講師として参加した「エンジョイ・スポーツ・セミナー」と、その際に話をしたスポーツ界のセクシュアルハラスメントについて。近年はセクシャルハラスメントへの関心も高くなっているそうだが、「対応策や防止策となると、積極的では決してない」と指摘するように、具体的な取り組みが求められていると言える。(長谷川)

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