|
Sportsmedicine No.84 Sep-Oct, 2006
月刊スポーツメディスン 9・10月合併号 通巻84号
A4変型判 52頁 中綴じ 定価1,100円(1,000円+税) クリアランスセール特価550円(500円+税)[品切れ]
年間購読料11,000円(10,000円+税)
■特集 低負荷・無負荷での筋力トレーニング——「意識」がもたらす効果について
筋力トレーニングにおいて、一般に筋力を向上させるには高負荷低回数、筋持久力を高めるには低負荷高回数がよいとされる。そこには「意識」の問題、つまり「どの筋肉を使っているか」を意識して行うかどうかはファクターとして入ってこない。今月の特集では、それを意識するかどうかで効果が違うという結果を得た丹羽先生らのグループによる研究内容を中心にまとめてみた。拮抗筋の関与、無負荷でも有効な筋力トレーニングの方法など今後の健康づくり、介護予防に大きな影響を与える可能性のある内容である。これについて、関連各氏の意見もまじえて構成する。
丹羽滋郎、高柳富士丸、石井直方、石水極子、高田遵湖
■連載その他
Topic Scanning
新しい流れを読む
来年度から「生まれ変わる」健康運動指導士——何がどう変わるのか、これからどうなるか?
Sports Acupuncture
新連載 広がるスポーツ鍼灸──その活動と今後の展望1
介護予防から子どものスポーツまで
朝日山一男
Sportsmedicine Now
取材レポート:これからのスポーツ医療
ダンサーのヘルスケアを考える——芸術家のくすり箱主催セミナー「Dance Wellness Day」より
Sports Science Essay
「間」の考察から運動そのものへ——ドイツの運動科学理論とともに
ちいさな国のおおきな闘い! その11
綿引勝美
Therapeutic Exercise
運動療法のポイントと実際—─整形外科診療所からの発信
子どもたちにしてあげられること
多久泰夫・多久範子
Exercise File
File 1 機能改善体操
グライディング・ディスクを使って
尾陰由美子
File 2 介護予防に役立つ機能改善エクササイズ
日常生活のなかで機能向上を実感できるエクササイズ
石井千恵
File 3 連載 快適な動きが脳を鍛える──忙しい人のためのフェルデンクライスメソッド
脳を鍛えるからだのレッスン──顎、口、顔、首の緊張の軽減
フランク・ワイルドマン博士 訳:藤井里佳
Watch and Write!
スポーツの「芯」
何を伝えることができたか
〜スポーツワークキャンプin山之村 リポート
山田ゆかり
特集 低負荷・無負荷での筋力トレーニング
この特集のきっかけは、丹羽先生からのご一報であった。電話でお話を聞くうちに、ぜひ取材したくなった。それくらい興味をそそるものだったということである。
愛知医科大学で、丹羽先生、高柳先生(P.6)にお会いし、研究内容を拝見、縷々ご説明いただいた。本文には記していないが、丹羽先生、高柳先生の“実演”はまだまだあった。丹羽先生はズボンの裾をまくり、発達した大腿四頭筋を見せていただいた。歩くときに後ろの膝を伸ばすこと、これだけでこんなに発達するかというほど見事なものだった。
鍛えようとする筋肉を「意識しろ」ということは現場でもよく言われる。その「意識する」とはどういうことか。その脳や神経系のメカニズムはまだよくわかっていないようだが、確実に筋電図に変化が表れる。低負荷だと主動筋のみならず、拮抗筋にも放電がみられるという事実はとてもおもしろい。また当然だろうが、高負荷になると拮抗筋は抑制され、主動筋の強い筋出力を促す。うまくできているものだ。
「鍛える」=「ハードなトレーニング」という図式は必ずしも成立しない。目的、目標にもよるが、「がんばらなきゃ」ということはないのだ。
この研究について石井先生(P.15)にメールでお知らせすると、興味を示していただいた。そこで愛知医科大学から東京大学へ。石井先生の話は、本文に示したとおりだが、すでに低負荷でのスロートレーニングで似たような結果を論文として発表されていた。ただし、拮抗筋に着目はしていなかったとのこと。そこから、筋力トレーニングの方法論について話は展開するが、低負荷でのゆっくりしたトレーニングはスポーツ選手には悪い影響、つまり力を入れたままになりがちで、パフォーマンスにマイナスの影響を与えうることが指摘されている。スポーツ医科学は、もともと競技スポーツ選手を対象にしたが、現在は高齢者から子どもまで性別・年齢を問わず、広く一般も対象としている。しかし、対象が違うとまた別の展開、視点も必要になる。そこがまたおもしろいと思う。
丹羽先生、高柳先生、石井先生が共通して述べておられるのが低負荷(無負荷)でゆっくりした運動としての太極拳との共通性である。そこで東大でも指導されている石水極子先生(P.18)に太極拳での動きを聞くことにした。この先生の話は宇宙からチューリップまで非常に幅広く、説明しながらも常にからだが動いていく。文字と写真でまとめる記事では限界があるが、その話のエッセンスは紹介できたかと思う。
もうお一人、ぜひお話をうかがいたかったのが高田先生(P.20)である。本誌70号「ピラーティス・メソッド」の特集でお世話になったが、個人的にも3回ほどセションを受けさせていただいた。そのときの感覚から、今回の特集内容と共通したものがあると思い、聖心女子大学にうかがった。限られた誌面なので、十分ではないが、集団で行うピラーティスのイメージとは少し違うところを感じ取っていただけるとさいわいである。石水先生、高田先生については、また本格的内容で再登場いただくことを考えている。ご期待いただきたい。(清家)
連載その他
巻頭では平成19年度から始まる「健康運動指導士」の新制度についてわかりやすく整理。新連載「スポーツ鍼灸」では、全国で活動されている先生にご執筆いただく。その第1回は前号に登場していただいた朝日山先生(P.22)。また再び綿引先生(P.29)の連載が始まった。ドイツでの収穫が披露される。スポーツ科学においてとくにドイツの運動科学は要チェックである。愛読者の多かった多久先生(P.34)の連載は今月が最終回。ありがとうございました。エクササイズファイルはいつものように尾陰(P.40)、石井(P.43)、ワイルドマン(P.46)の3先生による構成。山田さん(P.50)は、ワークショップレポート。
|
|
|