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Sportsmedicine No.111, 2009
月刊スポ-ツメディスン 6月号 通巻111号

A4変型判 52頁 中綴じ 定価1,100円(1,000円+税) クリアランスセール特価550円(500円+税)[品切れ]
年間購読料11,000円(10,000円+税)

■特集 からだの感覚——体性感覚をめぐって
スポーツや芸術では「感覚」を重視する。感覚は主観的なものであり、定量化しにくい。しかし、すでに科学はその感覚の世界に入りつつある。以前、『タッチ』という本を書かれた岩村吉晃先生の講演を聞く機会があった。そこで「体性感覚」について学んだが、それがきっかけになり、今回「体性感覚」をキーワードに特集を組むことにした。その岩村先生へのインタビューを軸に、「体性感覚」の基礎を整理し、そのあと、かねてコオーディネーションの理論と方法をスポーツのみならず、音楽、医療、教育などに活用されてきた荒木秀夫先生とそのゼミ生でもあった理学療法士の鶯春夫先生に感覚と運動について語っていただいた。またトップアスリートの声も含め、「感覚」について考えてみた。

1  体性感覚について
岩村吉晃・川崎医療福祉大学医療技術学部感覚矯正学科 教授、東邦大学名誉教授

2  感覚と運動——体性感覚と認知運動療法、そしてコオーディネーション
荒木秀夫・徳島大学総合科学部教授
鶯 春夫・医療法人橋本病院リハビリテーション部主任
The Athlete's Voice  アスリートの感覚 田中夕子・フリーランスライター

Topic Scanning
新しい流れを読む
バスケットボール選手に多い足関節の外傷・障害への対応——バスケットボールトレーナー研修会開催

Ultrasound Diagnostic Imaging in Sport
連載 スポーツに役立てる超音波画像診断
足関節捻挫
菊池一馬・町立羽後病院整形外科、皆川洋至・城東整形外科

Editorial Report
話題の最前線
SHU's BASKETBALL CAMP2009 Spring Coaching Clinic——コーチングを語り、コーチングを学ぶ

My Fishing Days
70歳からのフィッシング
「飛騨シューレ」設立と高原川の釣り
宮下充正・東京大学名誉教授

Contribution 寄稿
茨城県におけるスポーツ医学活動の現状
矢田部佳久・県北医療センター高萩協同病院整形外科、宮川俊平・筑波大学大学院人間総合科学研究科

Prevention of Baseball Injuries II
続・投球障害の予防と対応
投球障害予防のコンディショニング——桑水流学(セントルイスカージナルストレーナー)氏に聞く
能勢康史・コンディショニングコーチ

Sports & Law
連載 基礎から学ぶ「スポーツと法」
企業スポーツ選手と労災保険
大橋卓生

Essay on the Picture
私の“一枚の絵”
運動音痴の恨み辛み
飛松好子・国立障害者リハビリテーションセンター病院第一機能回復訓練部部長

Meridian Stretch
「経絡ストレッチ」——身体の異常診断と修正が容易にできる
経絡ストレッチで症状が改善した例 17
東洋医学の考え方(6)——腰痛とからだのだるさのある選手の経絡ストレッチ
朝日山一男・神奈川衛生学園専門学校

Life Skill Program
アスリートのためのライフスキルプログラム再考
島本好平・東京工業大学大学院 社会理工学研究科特別研究員・博士(学術)

Exercise File
File 1 介護予防に役立つ機能改善エクササイズ
測定結果を指導に活かす——意識的に動いて握力アップ
石井千恵・健康医科学協会

File 2 医療現場のボールエクササイズ
精神障害者のための健康づくりとは[実践編]
道端朋子


  傳田光洋さんの『皮膚は考える』『第三の脳』を読み、皮膚には興味を持っていた。皮膚というと触覚が最初に浮かぶが、その触覚に関係して『タッチ』という著書がある岩村吉晃先生の講演を聞く機会があり、触覚をはじめとする「体性感覚」をいつか特集で扱ってみたいと考えていた。
  本郷でお会いし、約1時間お話をうかがったが、体性感覚について、まとまった書がなく、執筆の依頼を受け、誰かがやらなければいけないと思い、引き受けたとか。『タッチ』という医学書としてはユニークなタイトル。文章は比較的やわらかいが、書かれている内容はしっかり読み込まないと理解できない。その本を読み、先生のお話をうかがい、最初の2章に書かれている、タッチの感覚と生理学について基礎的なことをまとめてみた。関心がある人はぜひ、『タッチ』に当たっていただきたい。
  続いて登場していただくのが徳島大学の荒木秀夫先生と、そのゼミ生でもあった鶯春夫先生(理学療法士)。このテーマを考えたとき、ぜひこのお二人の先生のお話をうかがいたいと思った。荒木先生はコオーディネーションに関して、本誌でも何度も取材させていただいているが、その取材を通じて知った鶯先生の療法にも興味があった。夜の9時半という遅い時間だったが、徳島大学でお二人に、体性感覚と認知運動療法、スポーツ指導など、非常に興味深い内容を語っていただいた。徳島大学に着いたときにはすでに実験が始まっていて、取材が終わり、日付も変わったあとでも、まだその実験は継続中であった。
  この取材で鮮明に記憶されるのが「感覚が運動をつくる、運動が感覚をつくる」という言葉で、経験的にもまさにそのとおりだと思った。「認知運動療法」は、英語では「認知運動」と訳せる表現で、「療法」というより「運動」である。また、ベルンシュタインの理論が、運動、スポーツ、医療、音楽など幅広い方面に活用され、日本ではそれが別々のもののように思われているが、実は源泉は同じものだという指摘も忘れがたい。あらゆる分野に根幹的影響を与える哲学のようなものかもしれない。では、アスリートはどうなのか。これについては、多数のトップアスリートを取材してきた田中さんにまとめていただいた。(清家)


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