Sportsmedicine No.148, 2013
月刊スポ-ツメディスン 2013年2・3月合併号 通巻148号
A4変型判 52頁 中綴じ 定価1,000円(+税) クリアランスセール特価550円(500円+税)[品切れ]
年間購読料11,000円(10,000円+税)
■特集 解剖の真実
──セラピストの治療を変える解剖学
解剖は基礎中の基礎とされ、治療においてその知識は不可欠。それは誰でも知っていることだが、さて、ではその解剖をどこまで知っているか、あるいはなぜそうなっているのかをどう解釈するかとなると、人によってさまざまかもしれない。今月の特集では、理学療法士として、約700体の解剖を経験された吉尾先生に、なぜ解剖に取り組んだのか、その結果治療がどう変わったのか、何が現在おかしいのかについて長時間解説していただいた。多数のスライドを用意していただいたが、すべては掲載できないため、カラーページに多数再掲したので併せて参照していただきたい。
1 セラピストのための解剖学──根本から治療に携わるために必要な知識
吉尾雅春・千里リハビリテーション病院 副院長、理学療法士
2 脳の解剖
(同上)
特集頁例 msm148.pdf *注1
Topic Scanning
新しい流れを読む
これでいいのか理学療法士──新春に巻き起こった息吹
Sports and Medicine
スポーツと医療の現場から考える
少年野球指導者論III──体格と守備位置
河崎賢三・スポーツ整形外科医、桐蔭横浜大学 スポーツ健康政策学部 教授
Contribution
寄稿
ドイツスポーツクラブにおける心臓リハビリテーション施設視察レポート──ドイツスポーツクラブと心臓リハビリについて
大浜三平・NPO法人スマイルクラブ理事
木村利男・NPO法人スマイルクラブ理事
丸木多恵・東京医科大学心臓リハビリテーションセンター理学療法士
Round Table
座談会 進化とスポーツ医学①
進化を語る
濱田穣・京都大学教授、京都大学霊長類研究所進化形態分野
渡會公治・帝京平成大学教授
村上元庸・医療法人社団村上整形外科クリニック理事長
鮫島康仁・小山整形外科内科クリニック院長
Essay on the Picture
私の“一枚の絵”
中高年の腰部脊柱管狭窄症と山歩き
飛松好子・国立障害者リハビリテーションセンター健康増進センター長
Sports & Law
基礎から学ぶ「スポーツと法」
スポーツと保険
飯田研吾・スポーツ法政策研究会、兼子・岩松法律事務所、弁護士
Topics on Children
子どものからだと心〔最終回〕
日本の子どもにおける生存・保護・発達・生活の最新事情──『子どものからだと心白書2012』より
野井真吾・子どものからだと心・連絡会議、日本体育大学 准教授
Synapsology
シナプソロジー〔最終回〕
脳の潜在認知力を引き出す「シナプソロジー」──まとめ
沖本 大・シナプソロジー普及会ディレクター、株式会社 ルネサンス商品開発部 課長代理、社団法人 日本フィットネス協会/ADD・ADE・AQS
Meridian Stretch
「経絡ストレッチ」──身体の異常判断と修正が容易にできる
経絡ストレッチで症状を改善しよう 29
ランナーに起こりやすい傷害への対応(11)──踵の痛み
朝日山一男・神奈川衛生学園専門学校
Physical Essay
からだのエッセイ「身体の森」
偶景(アンシダン)
山田ゆかり・スポーツライター、早稲田大学非常勤講師、一般社団法人飛騨シューレ代表理事
冒頭のMain Topic(P.1)取材のため千里中央まで出かけたが、そこで接した3氏の講演内容は非常に重要だと思われた。それについては巻頭記事に記したとおりだが、そこでの紹介のみでは不十分と考えた。3氏とも現在の理学療法士のあり方に疑問を投げかけ、大いに示唆を与えたが、なかでも吉尾雅春先生の話は、とくに解剖や脳の知識に焦点を当て、そこから導かれる治療について語る内容であった。解剖は理学療法士のみの問題ではない。ぜひ、この話で特集を組みたいと思い、取材をお願いし、ご快諾いただいた。
新大阪から御堂筋線に乗り、千里中央で下車。そこからタクシーで10分ほどで千里リハビリテーション病院に着く。あまり病院らしくない外観だなと思いながら、玄関を入ると、そこはホテルのような感じで、いわゆる外来受付があり待合室がありという光景とはまったく異なる。フローリングで座り心地のよさそうな椅子が並び、ホテルのロビーのようである。取材後見学させていただいたが、患者さんは廊下や階段でエクササイズを行っている。そういう設計なのだ。「人間としての復権」と吉尾先生はリハビリテーションを語っているが、その思想がそのまま病院の設計に活かされている。個室も洋室と和室があり、ゆったりとしている。理学療法士とお茶をのみながら歓談している光景もリハビリテーションの一環なのだろう。
吉尾先生にはたっぷり2時間以上、多数のスライドを用いて語っていただいた。約700体の解剖を理学療法士の目で行ったそのエッセンスがあふれている。ここまでわかっていないといけない。そういう迫力が伝わってくる。それは患者さんのためにほかならない。「人間としての復権」をもたらすために、何をしなければいけないか。「理学療法士がつくっている」という状態がある。それもまた衝撃である。
「ホテルのようだと言いましたが、ホテル、ホスピタル、ホスピタリティはみな同じ語源です」と吉尾先生が説明された。病院の概念が大きく覆されが、解剖や脳の知識を基盤とした治療は、そのことと深い関係があるだろう。リハビリテーションとは何か、医療、治療とは何かを考えさせられる取材であった。吉尾先生の話は今回だけではとても収録しきれない。また改めて語っていただきたいと考えている。(清家)
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