Sportsmedicine No.151, 2013
月刊スポ-ツメディスン 2013年6月号 通巻151号
A4変型判 52頁 中綴じ 定価1,000円(+税) クリアランスセール特価550円(500円+税)[品切れ]
年間購読料11,000円(10,000円+税)
■特集 ストレッチングの研究と現場
──ダイナミックとスタティックの用い方
1981年に刊行された『ボブ・アンダーソンのストレッチング』は日本においても世界においても急速な普及をみせ、今やアスリートはもちろん一般人にも広く実践されている。ストレッチング関連書籍も今なお多数が店頭に並んでいる。しかし、ストレッチングの科学的論文が示すところでは、スタティックストレッチングはパフォーマンス向上には有効とは言えない。ではスタティックストレッチングはウォームアップでは行わないほうがよいのか。そうした現場での疑問も含め、この特集では、ストレッチング研究に携わってこられた山口太一先生に長時間取材し、その研究も含め山本利春先生にインタビュー、そしてスポーツ現場での実際について、河本耕平選手と桑井太陽トレーナーに聞いた。
1 ストレッチングの研究を語る──ダイナミックストレッチングとスタティックストレッチングの用い方
山口太一・酪農学園大学 農食環境学群 食と健康学類 准教授
2 ストレッチング研究の難しさと妥当性
山本利春・国際武道大学教授、日本体育協会公認アスレティックトレーナーマスター
3 現場からの報告──選手、トレーナーの実践例より
■現場リポート1
多方向からのアプローチでパフォーマンスアップを図る──河本耕平選手のストレッチングの変化
■現場リポート2
パフォーマンスチェンジという考え方──桑井太陽トレーナのストレッチ
特集頁例 msm151.pdf *注1
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山田ゆかり・スポーツライター、早稲田大学非常勤講師、一般社団法人飛騨シューレ代表理事
小社から1981年に刊行された『ボブ・アンダーソンのストレッチング』(堀居昭訳)の編集を担当した。もう30年以上前である。当時は、「1、2、3、4」とパートナーに押されて行う柔軟体操が多かったのだが、それは伸張反射を誘発し、収縮しようとする筋を外力で伸ばすことになり損傷の危険がある。そうではなく、自らの力でゆっくり伸ばしていき、そこで20~30秒保持し、その後さらに伸張する「ストレッチング」がよいということで、またたく間に普及した。そのストレッチングは、静的であるため、「スタティックストレッチング」と呼ばれ、動的なものはダイナミックストレッチング、上記のような反動をつけたものはバリスティックストレッチングと分類された。その後PNF理論を用いたPNFストレッチングも加わり、ストレッチングといってもいろいろある状況になった。
では、どのストレッチングがどういう場合によいのか、それはエビデンス的にははっきりしなかった。その段階で、ダイナミックストレッチングのよさを体感していた山口太一先生(P.4)は、ストレッチングとパフォーマンスへの関心から、それまでの文献にあたり、研究を始めた。だが、ストレッチングをパフォーマンスとの関係でみていくのは条件設定の問題もあり、かなり難しい。山口先生は一時ウォームアップではダイナミックストレッチングのほうがよいという主旨の記事を出し、大きな反響があった。しかし、主旨としてはスタティックストレッチングを否定するものではなかった。
その後、さらに研究を続け、スポーツ現場における各種ストレッチングの妥当な使用法、また健康の保持増進に対するスタティックストレッチングの有効性についてもまとめられている。137号特集「ストレッチング熟考」で冒頭に登場していただいた山本利春先生(P.21)は山口先生とも交流があるが、今回はその山口先生の研究に対するお考えを中心に、さらに先生の研究室での研究内容についても語っていただいた。
ではスポーツ現場では今どう行っているのか。元水泳選手であり編集者でライターでもある田坂友暁さんに、河本耕平選手(P.29)と桑井太陽トレーナー(P.32)に取材してもらった。最先端の現場での考え方の変化と実際のストレッチングについてのインタビューである。(清家)
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