Sportsmedicine No.152, 2013
月刊スポ-ツメディスン 2013年7月号 通巻152号
A4変型判 52頁 中綴じ 定価1,000円(+税) クリアランスセール特価550円(500円+税)[品切れ]
年間購読料11,000円(10,000円+税)
■特集 〔座談会〕 胸郭出口症候群
──医療、トレーニング、科学の視点から
「胸郭出口」という解剖学的部位があり、そこが狭くなってさまざまな症状を呈するのが「胸郭出口症候群」で、投球動作、つまり野球やバドミントン、バレーボール、テニスなどの競技動作を繰り返すことで起こると考えられる。しかし、同じような動作は、たとえばストレングストレーニングでも生じ、それが原因となっているかもしれない。この特集では、議論のある「胸郭出口症候群」について、整形外科医、理学療法士、トレーナー、バイオメカニクス専門家に集まっていただき、それぞれの専門的視点から胸郭出口症候群について議論していただいた。大変興味深い内容であり、各方面からのご意見をいただきたいところである。
■出席者(主要発言順)
馬見塚 尚孝・筑波大学附属病院水戸地域医療教育センター/水戸協同病院整形外科講師
古島 弘三・慶友整形外科病院スポーツ医学センター
宇良田 大悟・慶友整形外科病院リハビリテーション科
漁野祐太・千葉ロッテマリーンズコンディショニング担当
島田一志・金沢星稜大学准教授
芋生祥之・筑波大学附属病院水戸地域医療教育センター/水戸協同病院リハビリテーション科
1 胸郭出口症候群に関する日本整形外科学会の見解
2 投球に伴う神経障害:胸郭出口症候群
3 古島先生の発表に関するディスカッション
4 胸郭出口症候群の鑑別診断
5 胸郭出口症候群のリハビリテーション
6 レジスタンストレーニングとの関連
7 バイオメカニクスの視点から
8 まとめ
特集頁例 msm152.pdf *注1
Topic Scanning
新しい流れを読む
ACミランでのトレーナー活動を語る──インディバ・ジャパン特別講演
Report from Europe
新連載 After2012オリンピック・パラリンピックから見える風景
ラフバラ大学のスポーツ戦略 Vol.1
久木留 毅・専修大学教授(文学部/スポーツ研究所)/JSCラフバラ大学政策情報研究拠点センター長
Sports and Medicine
スポーツと医療の現場から考える
野球的思考・行動とサッカー的思考・行動──教員、指導者、医師の立場からみた違い
河崎賢三・スポーツ整形外科医、桐蔭横浜大学 スポーツ健康政策学部 教授
Sports & Law
基礎から学ぶ「スポーツと法」
医薬品・サプリメントの個人輸入に関する基礎知識
宮田義晃・スポーツ法政策研究会、京橋法律事務所、弁護士
Essay on the Picture
私の“一枚の絵”
足関節と足関節外傷を考える
渡會公治・帝京平成大学健康メディカル学部
Meridian Stretch
「経絡ストレッチ」──身体の異常判断と修正が容易にできる
経絡ストレッチで症状を改善しよう 33
ランナーに起こりやすい傷害への対応(15)──足の痙攣
朝日山一男・帝京大学医療技術学部准教授、鍼灸マッサージ師、日本体育協会公認AT、健康運動指導士、健康運動実践指導者
Physical Essay
からだのエッセイ「身体の森」
美
山田ゆかり・スポーツライター、早稲田大学非常勤講師、一般社団法人飛騨シューレ代表理事
「胸郭出口症候群」という言葉は、以前から時折出てきていたが、そう頻度は高くなかったと思う。ところが、最近、とくに野球を中心によく耳にするようになってきた。ちょうどそのころ、馬見塚尚孝先生が話題にされていて、「胸郭出口症候群」で特集を組むことはできないかという相談をしたのが今年の3月ごろであったか。議論するところが多いので、座談会形式でという話になり、出席者を決定、5月19日の日曜に筑波大学東京キャンパスに集まっていただいた。
事前に、各氏が関連資料を各メンバーにメールで配信、それぞれが目を通してから座談会の場に臨んだ。整形外科医として水戸協同病院の馬見塚先生と慶友整形外科病院の古島弘三先生、理学療法士として慶友整形外科病院の宇良田大悟先生と水戸協同病院の芋生祥之先生、千葉ロッテマリーンズのコンディショニングを担当されている漁野祐太先生、そして金沢星稜大学でバイオメカニクスの研究に携わっておられる島田一志先生、計6氏である。
座談会は、まず日本整形外科学会が胸郭出口症候群についてどのように記載しているかを掲げ、その後、古島先生が「投球に伴う神経障害」として胸郭出口症候群の病態、診断などを概説された。そのあとディスカッションを行い、鑑別診断として、脊椎脊髄長不適合症候群(仮称)について馬見塚先生が紹介、リハビリテーションについて宇良田先生が述べ、プロ野球でのレジスタンストレーニングと胸郭出口症候群について漁野先生が語り、随所に芋生先生にも発言していただいた。
胸郭出口がもともと狭い人もいるようだが、胸郭出口を狭くする動作も上肢を挙上することの多い競技では頻回に繰り返される。またトレーニング場面でも類似動作は少なくない。投球動作が関連するが、ピッチャーに多いわけではない。まだよくわかっていないことも少なくない疾患であり、診断も治療も難しさを伴う。
しかし、この座談会でポイントがよく整理され、競技や練習、トレーニングで留意すべき点は浮かび上がったのではないだろうか。また機会をみて取り組んでみたいテーマである。今回出席していただいた6氏には校正も含め、大変お世話になりました。誌上ながら改めて御礼申し上げます。(清家)
|