スポーツにはいつも発見がある
現場に活きる知識と経験を伝えたい
わたしたちはスポーツ医科学専門出版社です





書店での検索

紀伊國屋書店
amazon


(下は原著へのリンクとなっております)
Kinetic Control, by Mark Comerford and Sarah Mottram. Churchill Livingstone Australia



書籍サンプル
『キネティックコントロール』サンプル

・こちらの雑誌および書籍もぜひご覧ください。

『姿勢チェックから始める コンディショニング改善エクササイズ』
『アスレティックボディ・イン・バランス』

キネティック
コントロール

制御されていない動きのマネジメント

Kinetic Control
The Management of Uncontrolled Movement

著:Mark Comerford、Sarah Mottram
翻訳:佐藤晃一・日本バスケットボール協会スポーツパフォーマンス部会長


B5判、520頁
定価 12000円+税
ISBN 978-4-909011-00-8
2017年3月31日発売

動作不良や痛みの発生する要素に、著者らは「制御されていない動き」(UCM, Uncontrolled Movement)の存在を挙げている。本書では、この制御されていない動きがどのように起こるのか、「部位と方向」で整理・解説する。そして見つけるためのテストや、再トレーニング方法を脊椎から骨盤、肩甲帯、股関節に至るまで丁寧に紹介していく。


本書の特徴
・動作不良の起こる仕組みを解説
・筋機能についての考え方を再構築
・「制御されていない動き」(UCM)について詳説
・UCMの部位と方向をテスト
・特異的な再トレーニング方法を提示
・写真を用いた動きの紹介と評価フォーマット


目次

序文・前書き・謝辞

第1部
1 制御されていない動き
2 筋の機能と生理学
3 制御されていない動きの評価と分類
4 制御されていない動きのための再トレーニングストラテジー

第2部
5 腰椎骨盤帯
6 頸椎
7 胸椎
8 肩甲帯
9 股関節

目次については、今後変更になる可能性があります。

序文、序、翻訳にあたって

・「序文」より一部抜粋

 本書は、動きの制御の評価と再トレーニングのための包括的なシステムをまとめている。

(中略)

 制御されていない動きは、動作制御テストにより特定することができる。痛みのある患者は、これらの動作制御テストを行う際に、異常な動作パターンを示す。慢性痛および再発痛の評価とマネジメントにおいて、動作制御テストを用いることは相次ぐ多くのエビデンスにより支持されている。制御されていない動きの部位や方向、動作不良の閾値を特定することは、筋骨格系障害および痛みの独特な分類システムである。ここで紹介されている動作のテスト過程は、制御されていない動作の分類を、クライアントに特異的な再トレーニングプログラムを構築するために用いることができる診断的サブグループにすることを可能にする。この過程によって、マネジメントの優先順序を決めることができ、筋骨格系の痛みとケガの再発のマネジメントを最適化することができる。今では、分類は動作の評価の礎石であり、また分類の部位や方向、閾値についてのエビデンスが増えている。本書では、評価、臨床推論、そして特異的再トレーニングの構築されたシステムについて詳しく述べている。この体系は、筋骨格系障害のマネジメントを促進するようにデザインされており、他の介入手段を除外するものではない。

(中略)

 動作制御の機能障害は、動作システムにおいて多面的な問題を示す。動作の分析や動作不良の臨床的診断、患者に特異的な再トレーニングプログラムや、痛みや能力障害、痛みの再発や機能障害に対するマネジメント計画の作成・適用には、スキルが求められる。異常な動作パターンのメカニズムは複雑であることがあるため、マネジメントの目標および優先順序を決定するためにしっかりした臨床推論フレームワークが不可欠である。我々は、運動機能障害に関わる4 つの鍵となる診断基準として考慮されるべき選択肢を提供する評価のフレームワークを示す。すなわち、運動機能障害の診断(制御されていない動きの部位と方向)、痛みに敏感な組織(病理解剖的構造)の診断、痛みのメカニズムの診断、関連する背景因子の特定、である。この臨床推論のフレームワークは、個別の再トレーニングプログラムを作成するために、エクササイズ処方において、再トレーニングをどこで開始するか、いかに非常に特異的で効果的にするかというような、リハビリテーションのための優先順序を特定するうえで手助けとなる。
 制御されていない動きは、臨床現場において確実に特定されることができ、筋骨格系の痛みの存在および再発、予測と関連づけられる。我々は本書を通じて、世界中の臨床家が制御されていない動きを特定し、再トレーニングを効果的に行うことができるようにし、また人々がよりよく動き、また気分がよりよくなり、より多くのことができるようになる手助けできることを願う。

Mark Comerford
Sarah Mottram
2011年


・「序」より一部抜粋

 Comerford と Mottramは、運動機能障害に関する広く包括的な要因を示したことで、表彰されることになるだろう。本書は、筋骨格系の疼痛症状のマネジメントに関連するいくつかの私の強い信念を共有している。その信念とは、(1)動作システムを認識し定義する、(2)動作の方向に基づく疼痛症候群を特定し説明する、(3)主な原因となっている運動機能障害を特定する、(4)運動機能障害の一因である多様な組織の適応について説明する、そして、(5)包括的で、特定された一因である組織の適応に基づく治療プログラムを作成すること、である。私は、さらに、治療プログラム(精密で小さく、低い力のコントロールを必要とする動作から、全身の大きな力を必要とする動作まで多岐にわたる)は患者の積極的な参加を必要とする、という信念も著者らと共有している。

(中略)

 本書は、動作システムの特徴、そして、それらの特徴がいかに疼痛症候群に関連する運動機能障害の一因となるかという認識を高め、定義するのに貢献する。著者らは関連する神経および筋系の機能障害についての文献の広範なレビューを行っている。彼らは、鍵となる根本的な原因(制御されていない動きと表されている)について詳述しており、治療プログラムのための基礎を提供している。詳述された症候群や鍵となる観察、検査フォームは、臨床家にとって最も役立つガイドとなるだろう。評価によって得られた情報から構築される治療プログラムも、詳細にわたって述べられている。とくに注目すべきことは、最もよく知られている筋骨格系の痛みへのアプローチに用いられているほとんどの観点と方法が組み込まれていることである。著者らは、これらの多様なアプローチからの理論的根拠と方法を包括的なアプローチとして整理した。

(中略)

すでに述べたように、本書はその包括性と、文献で報告されている起こり得る組織の異常や、分析方法そして治療についての詳細な説明において、非常に高い価値を持っている。動作システムの多くの複雑性や、疼痛症候群を引き起こし、またその一因になり得る機能障害を、理解、診断、そして治療するのに求められる厳密な分析に、読者らは本当に感銘を受けるだろう。著者らは、その運動機能障害のテーマについての包括的かつ徹底した議論において傑出したテキストをもたらしたのである。
Shirley Sahrmann, PT PhD, FAPTA


・「翻訳にあたって」より一部抜粋

 多くの方々のご協力のもと、キネティックコントロールの日本語版を皆さんにお届けできることを嬉しく思う。
 私が「Kinetic Control」に出会ったのは、2004年にアリゾナで行われたMark Comerfordによる機械的腰痛のための処方的エクササイズのワークショップに参加したときである。確固たる理論に基づいた実用的なその内容は、リハビリテーションやトレーニングにおいて、動きへの直接の介入の必要性を感じていた私にとって、非常にタイムリーで刺激的であった。当時、原著はまだ出版されておらず、以来、計7回のワークショップでMarkに会うたびに、 そのシステムをテキストブックとしていつ出版するのか度々尋ねたことを思い出す。原著が出版されてすぐに翻訳権取得を依頼し、この度、翻訳版の出版に至った次第である。
 本書に明示されているように、動作の問題、「制御されていない動き」の理解は、臨床家にとって不可欠であることは、原著が出版されて以来、ますます当然のことになっていると言えるだろう。本書で展開されている理論(Chapter 1〜4)と実用的な動作の評価と再トレーニング方法(Chapter 5〜9)は、私の動作への理解を促し、臨床推論と問題解決において、常に確固たる土台となり、基礎となっている。
 私にとって衝撃的であったのは、従来の筋機能に関する見方について、考え直す必要があるのではないかという指摘である。著者は、既存の筋機能の解釈が不十分であることを指摘し、新しく、より実用的な筋の機能的役割と、痛みや病態が筋機能に及ぼす一貫した影響を提示している。これら筋機能への影響をコンピュータウィルスがソフトウェア、ハードウェアに及ぼす影響にたとえているのは、ユニークでわかりやすい。
 本書が提示している、「相対的柔軟性」「相対的スティフネス」「努力感」といった質的な評価の概念は、「筋力」や「柔軟性」といった量的および絶対的概念と対照的であり、これらの理解は動作の評価において必須である。複雑にしてしまいがちな動作の評価を、系統的に運動制御や代償運動について評価(✓✗)を用い、部位と方向で整理するというシンプルなシステムは、 実用的で、身体動作の仕組みの理解を深めるのに役立つものである。さらに、動きに関する問題の背景因子を、相対的柔軟性や相対的スティフネス、生理学的な筋の特徴(筋動員の閾値に高低があること)と重ねあわせることで、代償運動の裏側にある機能障害をうまく説明している。

(中略)

 本書『キネティックコントロール』を手にする読者が、身体動作へのさらなる理解を深め、自身そして多くの人々の生活をよりよくできることを願う。

2017年3月
佐藤晃一

著者・翻訳者略歴

Mark Comerford
1992年にMark Comerfordはダイナミックスタビリティと筋バランスに関する大学院課程を設け、これがKinetic Control Movement Systemコースへと発展した。Kinetic Control®コースは、今では世界の25カ国に広がっており、10の言語で教えられている。MarkはKinetic Controlの設立ディレクターであり、英国Keele大学において非常勤講師のほか、オーストラリアのブリスベーンにあるPerformance Rehabで臨床を続けている。

Sarah Mottram
Sarahは、1995年にKinetic Control®に設立ディレクターとして加わった。世界各国で講義を行うとともに、英国Keele大学にて講師、またSouthampton大学(英国)のリサーチフェローである。またMovement Works(英国West Sussex州Chichester)で臨床を行っている。

佐藤晃一(さとう・こういち)
1971年、福島県郡山市生まれ。東京国際大学を卒業後、米国イースタンイリノイ大学にてアスレティックトレーニングを学ぶ。アスレティックトレーナーの資格(ATC, Athletic Trainer, Certified、National Athletic Trainers’ Association Board of Certification NATA資格認定委員会公認アスレティックトレーナー)を取得。その後アリゾナ州立大学大学院にてバイオメカニクスを学ぶ。NBAチーム(ワシントン・ウィザーズおよびミネソタ・ティンバーウルブズ)にて、スポーツパフォーマンスディレクターを務めた。2016年より、日本バスケットボール協会スポーツパフォーマンス部会長として、ケガの予防やパフォーマンス向上に取り組んでいる。