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Sportsmedicine No.134, 2011
月刊スポーツメディスン 9・10月合併号

A4変型判 52頁 中綴じ 定価1,100円(1,000円+税) クリアランスセール特価500円+税
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超音波 診断から診療へ
――整形外科領域で進むエコー革命


Sportsmedicine No.134, 2011
月刊スポーツメディスン 2011年9・10月合併号 通巻134号

超音波画像診断については、本誌でも連載を組み、その後書籍としてまとめたが、日本の整形外科領域で超音波(エコー)を用いる医師、理学療法士が増えるにつれ、診断に用いるのみならず診療に活用する方向が進んでいる。この特集では、積極的にエコーを用いておられる先生がたに取材、エコーの存在によって何がどう変わっていくかを探った。また、超音波に35年携わっておられる石田先生にはその流れと近未来について語っていただいた。

1 超音波診断から超音波診療の時代へ——みえることから新しい学問が生まれる
皆川洋至・城東整形外科

■整形外科医と理学療法士にとっての超音波
渡部裕之・城東整形外科スポーツリハビリテーションセンター、理学療法士
皆川洋至・城東整形外科

2 超音波をどう使うか——治療法の選択と治癒の確認
柚木 脩・東京有明医療大学教授、整形外科医

3 超音波を用いた検診の有用性——とくに離断性骨軟骨炎の発見について
柏口新二・東京厚生年金病院整形外科部長

4 超音波の発展と近未来像——超音波ひとすじの35年間から
石田秀明・秋田赤十字病院超音波センター

Products Report 超音波画像診断装置一覧

特集頁例  msm134.pdf *注1


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 東日本大震災から5カ月くらいの時期、秋田まで新幹線で行き、まず秋田赤十字病院で石田秀明先生(P.24)にお目にかかった。事前に皆川洋至先生(P.4)にうかがっていたのだが、超音波の初期から携わり、約35年研究を続けてこられた先生で、1つの学会で40もの発表をこなしたり、英語やフランス語での論文発表や座長なども務めてこられたとのこと。どんな先生かと思ったのだが、非常にフランク、2時間くらいいろいろなお話をうかがった。今でも超音波に理解を示さない人はいるが、35年前はもっとそうだっただろう。現在では高性能になり、小型化も進んでいる。石田先生がおっしゃるように、医師が胸ポケットに入れ、どこでもすぐに使える時代は案外そう遠くないのではないかと思った。
 石田先生とともに秋田駅に近い城東整形外科へ。皆川先生とお会いし、まずはスポーツリハビリテーション施設に案内していただき、その後インタビュー。そしてPTの渡部裕之先生(P.34)にも参加していただき、お二人に取材。超音波を導入していることもあり、外来患者数が非常に多い。皆川先生は、診断のみならず、診療への活用を強調されている。超音波ガイド下でのinterventionも正確に簡便に行えるのは、渡部先生が言うように、「名人芸」を誰にでもできる使い方として今後普及していくのではないか。  秋田から東京に戻り、超音波を長く活用されている東京有明医療大学の柚木修先生(P.10)に取材。診断だけでなく、そこから治療法を選択し、かつその治療がどう進んでいるかを超音波で確認する。そこに超音波の意義があるとされ、実例をたくさん紹介していただいた。今回の特集のテーマどおり、診療に活用するエコーである。
 超音波はポータブルもあり、現場での検診にも大きな威力を発揮する。30年にわたり野球少年の検診を行ってこられた柏口新二先生(P.20)には、その現場での検診に超音波を導入してから離断性骨軟骨炎の発見者数がほぼ倍になったこと、離断性骨軟骨炎は骨の壊死であることなど、興味深い話。整形外科領域におけるエコーの可能性、革命性がよくわかる内容である。次の機会にはPT領域におけるエコーの活用について詳細にレポートしてみたい。 (清家)